IT企業が資金調達するための2つのポイント

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ソフトウェア開発業

大規模な受託開発の案件の仕事の依頼がきたが、支払は数か月後に一括払いのため、売上代金が入金されるまでエンジニアの給料や外注費を立て替えする必要がある。

そこで本日はIT企業が資金調達をする方法をご紹介していく。

弊社が実際にクライアント様にお伝えしている内容をご紹介していく。

1.IT企業の資金繰り

まず、融資をうけるためにはIT企業の資金繰りの流れを銀行に説明しなければいけない。

IT企業の場合、請負契約もしくは注文書などの契約をかわす。

開発期間は数ヶ月程度のものが多く、売上代金は期日に一括入金か分割での入金がある。

この時、売上代金が入金されるよりも先にシステムエンジニアへの給料の支払いや外注費、その他支払いなどが発生するため、売上代金が入金されるまでの間、立て替えしなければいけない。

立て替えられる資金が会社にあれば問題ないが、立て替えられる資金が無い場合は銀行から融資をうけて資金調達をする必要がある。

2.短期融資の手形貸付という方法

では、銀行からどのように融資を依頼すればいいのか。

結論から言うと、短期融資の手形貸付で借りるのがベストである。

まず、短期融資とは1年以内に返済する融資のことである。

短期融資には手形貸付がよく利用される。

その他にも当座貸越なども短期融資の種類になる。

ただし、当座貸越については業績好調な優良企業しか利用できない。

当座貸越についてはこちらの記事「当座貸越の特徴と4つの条件」で詳細に説明しているので参考にしてほしい。

2-1手形貸付とは

手形貸付は売上の入金が確定している契約があり、先に経費の支払いの立て替えが発生する場合の立て替え資金として利用されることが多い。

返済方法は売上代金が入金されたら返済するという仕組みである。

下図が手形貸付の資金の流れである。

ソフトウェア開発業の資金の流れ

IT企業の場合、システムの開発案件は1年以内のものが多く、1年以内に売上代金も入金されるため、手形貸付を利用することで資金繰りをうまくまわすことができる。

手形貸付についてはこちらの記事「手形貸付の特徴と3つのポイント」について詳細に解説しているため熟読してほしい。

2-2.手形貸付のメリット

手形貸付のメリットは短期借入のため、実質的に借入を増やさずに資金繰りをまわすことができる。

ソフトウェア開発業の手形貸付の事例

例えば上図の請負契約1,100万円のシステム開発の場合、開発が開始してから終了するまで3ヶ月あり、入金があるまで開発開始から4ヶ月かかるとする。

入金は4ヶ月後だが、システムエンジニアや外注先などの支払いは先に立て替えて支払わなければいけない。

そこで手形貸付でシステム開発開始と同時に1,000万円の借入をする。

その1,000万円の借入で代金の入金日までエンジニアの給料や外注費など支払うのである。

そして、入金日に1,100万円の入金があったら、そのお金で手形貸付1,000万円を返済する。

そうすると、手形貸付の借入はゼロになり借金が増えない。

また、長期借入のように毎月返済があるわけではないので、毎月の返済額の増加にも繋がらない。

このように手形貸付は長期の借入ではなく返済原資が明確なため、長期の借入ができないときでも銀行から融資をうけられることが多い。

2-3.手形貸付のデメリット

手形貸付のデメリットについては万が一、システム開発案件が遅れて返済期日に返済できない場合はリスケ扱いになることが多い。

リスケとは返済額を減らすことができる方法であるがこの場合は、開発案件が遅れて返済ができないため、返済期日の延長となる。

手形貸付の返済が期日にできず、リスケになった場合はリスケが解消されない限りは追加の融資をうけることができないことが多い。

リスケについてはこちらの記事「元銀行員が教える!1ヶ月で資金繰りを改善できるリスケという方法」で詳細に解説しているため参考にしてほしい。

3.手形貸付で融資をうけるポイント

では、ここからはどうやったら手形貸付で融資をうけられるかをご説明していく。

3-1.請負契約書をもらう

まず、システム開発業の場合は請負契約書もしくはシステムの受注がわかる注文書が必要となる。

受注の契約書がないと本当に取引先から受注があるのか銀行は確認できないため、手形貸付で融資をうけることが難しくなる。

手形貸付が融資をうけやすい理由は、受注が確実にあり入金が確定しているため、入金のお金で返済期日に必ず返済ができるからである。

受注契約書がない場合は返済原資が確認できないため、受注の契約書は必ず必要となる。

稀にシステム開発の元請け先の業績が著しく悪く、開発案件の途中に倒産するリスクがある時は請負契約書や注文書があっても元請け先の信用度が低いため手形貸付をうけることができないことがある。

3-2.融資をうける銀行に請負契約の売上代金を入金する

手形貸付で融資をうける場合、受注契約書の売上代金を、融資をうける銀行に入金することを求められることが多い。

それは、例えば他の銀行に売上代金の入金口座に指定した場合、資金繰りが苦しい場合、人件費などの他の運転資金に流用されてしまうことがあるからだ。

本来返済をする資金を他の支払いに使われてしまうと融資をだした銀行は返済をしてもらえなくなるため、資金の管理をする意味で、手形貸付で融資をだす代わりに自分の銀行に受注契約書の売上代金を入金口座に指定することが条件となることが多い。

もちろん、取引先によっては入金口座を変えることができないこともあるので、その場合は別途相談する。

4.銀行が手形貸付を積極的に提案しない理由

手形貸付はIT企業では資金繰りを上手くまわすことができる融資手法であるが銀行によっては積極的に提案してこない所もある。

なぜかというと、手形貸付は1年以内に返済される短期融資のため、融資をしても融資残高が1年以内に減ってしまうためである。

銀行は利息収入を収益の柱となっているため、長く借りてもらった方が利息収入は入る。

1年以上の返済の長期借入については毎月返済のため、銀行としたら長く借りてもらえるため、利息収入が増える。

そのため、手形貸付で本当は借りた方がいいIT企業の会社でも銀行の利益もしくは担当者の実績のために長期借入を提案されて、長期借入で借りてしまうシステム開発業もある。

本来、数か月のシステム開発案件を5年や7年返済にしたらどうなるだろうか。

答えはシステム開発の受託開発がある度に長期の借入をしてしまい、毎月の返済負担が重くなる。

その結果、毎月の返済額が増加して資金繰りの悪化を招く。

短期で融資をうければ資金繰りが悪化しなかったのに銀行の利益もしくは担当者の実績のために長期で借入をしてしまって資金繰りが悪化してしまうIT企業もあるため、注意してほしい。

まとめ

IT企業の場合は短期融資である手形貸付を活用することで資金繰りが上手くまわせるようになる。

もし、手形貸付を利用しても資金が足りないならそれはシステム開発案件自体が赤字の場合である。

IT企業が手形貸付の融資をうけるポイントは

  • 受注の契約書をもらう
  • 融資をうける銀行に請負契約の代金を入金する

である。

IT企業は手形貸付の融資に非常に向いている業種のため、是非、積極的に活用してほしい。

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