中小企業が消費税を滞納してしまった時の3つの対処法

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コロナの影響で、売上が減少して資金繰りが苦しい。

資金繰りが苦しいため、消費税が払えずに滞納してしまっている中小企業も多いと思う。

消費税を滞納したら税務署から支払いの督促が来たが、現状一括で支払うことは難しい。

このままでは、売掛金や銀行の口座が差し押さえになってしまうかもしれない。

そこで、今回は消費税を滞納してしまった時の対処法をお伝えしていく。

弊社のクライアント様が実際に、分割納付に成功した方法をご説明していく。

1.税務署と分割納付の交渉をする

消費税を滞納してしまって、督促状が届いたら、すぐに税務署と交渉する必要がある。

督促を無視していると、いきなり会社の売掛金や銀行口座などを差し押さえをされる可能性があるからだ。

税務署との交渉は誠実に対応していく必要がある。

税務署との交渉の際には、資金繰り表経営改善計画書を持参して説明すると、税務署の担当者も会社の資金繰りがどうなっているのか、今後払える見込みがあるのかがわかりやすくなる。

資金繰り表の作り方についてはこちらの記事「【エクセルのフォーマット付き】初心者でも1日で資金繰り表の作り方がわかる6つの手順」を参考にしてほしい。

現状の資金繰り状況を資金繰り表でご説明しながら、分割で納付できる交渉をする。

注意点としては、分割納付の交渉の際には、とうてい払えない金額の約束をしてはいけない。

なぜなら、約束を守れなかった場合、その後の信用を失い、分割での支払いが認められなくなってしまう可能性があるためである。

税務署と分割納付の交渉をする際は、誠実な対応をすることを一番に心がけていただきたい。

2.リスケをする

おそらく、消費税の支払い期日が来る前に、一度、銀行の融資を申し込みをしたが、断られてしまったのではないだろうか。

融資をうけられているのならば、消費税は支払えるからである。

銀行の融資は消費税などの税金や社会保険料を滞納している場合、基本的に断られる。

これは、保証協会が消費税や社会保険料を滞納している場合は、保証しないためである。

そのため、銀行から追加融資を断られた場合は、リスケをすることをおすすめする。

リスケとは、毎月の銀行の返済を減らす方法である。

例えば毎月の銀行返済が100万円ある場合は、返済額をゼロにすることもできる。

リスケで浮いた資金を、消費税の支払いに充てていただければ、消費税の分割納付の交渉が上手くいく可能性は高い。

弊社のクライアント様も、リスケをして消費税の分割納付に成功している事例が数多くある。

リスケについての方法は、こちらの記事「元銀行員が教える!すぐに資金繰りを改善できるリスケジュールという方法」を参考にしてほしい。

経営者の方で消費税などの税金よりも先に、銀行の返済を優先させているケースがあるが、これは間違いである。

なぜかというと、消費税などの税金がすべて納付できるまで、銀行から融資はうけることができないからである。

現状、銀行から融資がうけられないならば、銀行の返済をリスケして浮いた資金で消費税の支払いをした方がいい。

また、消費税などの税金を滞納すると延滞税で年利14.6%と高い延滞税がかかってしまう。

また、会社の売掛金や銀行口座などの資産も差し押さえされてしまう可能性もある。

銀行の返済をリスケした場合は、金利は高くても3%台で済むし、リスケしていることが理由で銀行から会社の資産を差し押さえされる事は基本的にない。

ただ、税務署から会社の資産(銀行預金・土地建物・売掛金など)が差し押さえになってしまうと、取引先に信用不安が伝わってしまい、事業の継続ができなくなる恐れがある。

ちなみに税務署に銀行の預金や土地建物を差し押さえられた場合、銀行は保証協会に事故報告をあげ、融資しているお金の一括完済を求められる事がある。

そのため、銀行の返済よりも消費税の支払いをした方がいいのである。

差し押さえされた土地建物については、安値で競売になる可能性がある。

つまり、消費税を滞納してしまうと事業の継続が出来なくなってしまう可能性があるため、銀行の返済をストップして、減らした分を消費税の納付にまわした方がいいのである。

1-1.一時的に税金滞納を解消すれば銀行から融資をうけられる場合

基本的に銀行は消費税の滞納があると、それだけで融資は断られるが一時的に消費税などの税金をすべて納付して納税証明書を持っていけば、融資をうけられる場合がある。

では、どのように一時的にでも消費税などの税金をすべて払うのかというと、

1.経営者自身のカードローンなどで立て替える

2.親族から一時的に借りる

である。

1の方法は経営者自身で会社にお金を入れて、消費税などの税金をすべて納付することができれば、融資をうけられる可能性はある。

一時的に税金を支払って融資をうける方法は事前と銀行の担当者と税金をすべて納付したら、融資をしてくれることを確認しておくことが最も重要である。

銀行の担当者に確認をとっておかないと税金を納付できたのはいいけど、その後の資金繰りが苦しくなる。

2の親族から一時的に借りる方法も基本的に一時的な方法なので、融資がうけられることを銀行の担当者と確認してから納付することをお勧めする。

消費税の滞納金額が大きすぎて一時的にでも納付ができない場合は、この方法は使えない。

3.滞納しないように積立をしておく

消費税の分割納付の交渉がまとまったら、今後、発生するであろう消費税の対策もしておかなければならない。

これは、新たに消費税の滞納分を増やさないためである。

よくあるケースは前期の滞納分を分割納付しているが、今期の納付分の支払いができずにまた滞納してしまうケースである。

これを防ぐには、今期の消費税を払うために積立預金をしておくことである。

リスケをしてもらっている銀行で積立預金をすると「積立する余力があるなら返済してください」と言われてしまうので、融資取引がない銀行で積立をしておく。

資金繰りが厳しいのに積立なんてできないと思われるかもしれないが、もともと自社の利益のお金ではない。

預かっている消費税分を、運転資金に使ってしまうと消費税の滞納はいつまでたっても解消されない。

消費税の滞納分を少しでも減らしていかなければ、差し押さえになる事もある。

そのため、今期の消費税の納付分については、前期の消費税分をベースに積立預金をしておくことをお勧めする。

まとめ

消費税を滞納してしまった時の対処法は

  • 税務署と分割交渉をする
  • 銀行の返済をリスケする
  • 融資をうける

である。

追加で消費税の滞納分を発生させないためには、消費税分のお金を積立預金にしておく方法が良い。

是非、税務署との交渉は誠実な対応をすることを心がけていただきたい。

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田烏武

代表取締役株式会社 田烏経営研究所
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し中小企業、個人事業主向けの融資業務を担当する。 業績悪化先に対する返済条件のリスケジュールを毎月のように行う。 数多くの業績悪化先の特徴を見る中で、資金繰りが悪化する原因についてわかるようになる。 世の中の中小零細企業の資金繰り改善を目指すため独立。 得意分野は業績悪化先に対するリスケの実行支援。

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