リスケをしている企業数について

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企業数

現在、銀行からリスケをしてもらっているが、なかなかリスケから復活ができない。

世の中の中小企業の、どれくらい企業がリスケをしているのか気になる。

自分の会社は今後、大丈夫なのかと不安な経営者もいると思う。

そこで、本日はリスケの企業数についてご説明していく。

弊社がクラアント様に実際にお伝えしている内容をお伝えしていく。

1.リスケの企業数の推移

まず、リスケの年間の申し込み件数の推移をみていく。

リスケ 企業数

出典 金融庁

上の表は金融円滑化法がスタートした平成21年12月から平成31年3月までの推移である。

金融円滑化法から約10年が経過し、リスケの年間の申込件数のピークは平成22年度の135万件となっており、平成30年度には約74万件と年々減少傾向にある。

ただ、気を付けていただきたいのが、リスケは半年おきに見直すケースが多いので、1年間に2回リスケの申し込みをするケースが多い。

年間の申し込み件数を2で割っていただいた数字の37万者(74万件÷2回)が、平成30年度の新規のリスケの申し込み企業数と予想される。

2016年度の中小企業者数は約359万者となっている。

下記は、2019年版の中小企業白書のデータである。

2018年の中小企業者数のデータはまだ出ていないないが、2016年度の中小企業者数約359万者だとすると世の中のリスケをしている企業数は、10社に1社程度だと想定される。

2.倒産件数の推移

次に倒産件数についてみていきたいと思う。

倒産件数

2018年度の倒産件数は8,235件となった。

倒産件数は一見減少しているように見える。

だが、リスケの累計件数をみていただきたい。

リスケ 累計件数

出典 金融庁

これは、金融庁が出しているデータであるが、リスケの申し込みの累計件数は年々増加している。

この資料から読み取れることは、一度リスケになるとリスケからなかなか復活できずに、リスケを継続していることになる。

リスケ後の業績がなかなか改善できずに、銀行にリスケを継続してもらうことによって、何とか生き長らえている状況である。

この状況をふまえリスケから脱却できない中小企業を、倒産予備軍と呼ばれていることもある。

3.リスケ後の経営状態について

リスケ後の経営状態として、自力で劇的に改善するケースは少ない。

リスケ後の経営状態がなかなか改善しない理由として、私個人の体感としては

経営者自身が

  • リスケ慣れをしていて、そもそも改善する意欲がない
  • 景気のせいにしている
  • 経営者が変わる気がない
  • いつまでもリスケができると思っている
  • 将来のことを楽観視し過ぎている
  • 業績を改善する意欲はあるが改善方法がわからない

などがある。

銀行員時代から会社を起業して、様々なタイプのリスケしている経営者に接していて思うことである。

上記の理由から、自力でリスケから復活できるケースは珍しい。

4.リスケからの復活に必要なこと

では、リスケから復活するために必要なことは何か?

それは、自社の得意分野(強み)を把握して、経営資源を得意分野に特化していくことである。

中小企業はもともと大手企業と比較して経営資源が少なく、さらにリスケ中で銀行から追加融資が出ない中、資金的にさらに厳しい状況に追い込まれている。

そのため、リスケ中の場面では、得意分野に集中していくことが最も効果的であるのである。

リスケから復活しているケースで多いのは、売上よりも利益率を重視して経営していくことである。

 

あと、「絶対にリスケから復活する」という心構えが大事である。

金融円滑化法は2013年3月に終了しているが、まだ金融円滑化法の名残があり、そのおかげでリスケを何とか継続できている。

しかし、近い将来、銀行に見限られリスケが継続できなくなる可能性は十分にある。

その理由は、金融円滑化法はリーマンショックによる、倒産件数を減らすことを一つの目的としてあったからだ。

その後、東日本大震災などもあり、金融円滑化法は2013年まで延長となったが、さすがにもうリーマンショックが理由でリスケはできない。

リーマンショックから現在までリスケになっており、しかも元金据え置きで利息しか払えていない状況が続いているのなら、リスケになった理由はリーマンショックが一つのきっかけであるが、そもそも本業が儲かっていないのである。

つまり、現状のまま変わらなければリスケからの復活は難しい。

リスケが継続できなくなれば、いずれは倒産・自己破産になってしまう可能性が高い。

リスケが継続できなくなれば、経営者の方は自宅などの個人資産も担保に入れていることも多いため、銀行に身ぐるみはがされてしまう。

そうならないためにも今からでも遅くないので、時間的猶予をもらっている今のうちに是非、経営改善に取り組んでいただきたい。

リスケからの復活に必要なことについては、こちらの記事「リスケからの復活をするために必要な6つの事」で説明しているので参考にしていただきたい。

まとめ

2019年時でリスケの企業数は、約37万者ほどと予想される。

倒産件数については8,235件と年々減少してきているが、リスケの累計の申し込み件数は約848万件と年々増加してきている。

これは、リスケをしたがリスケから復活できていない中小企業が増加しているということである。

銀行から見限られた場合は、リスケが継続できなくなる。

リスケが継続できなくなれば、いずれは倒産・自己破産になってしまう可能性が高い。

そうならないためにも、今一度、経営者自身が変わっていただき、自社の将来を明るいものにしていただきたい。

リスケから復活できるよう弊社としては、今後も支援をしていきたい。

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田烏武

代表取締役株式会社 田烏経営研究所
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し中小企業、個人事業主向けの融資業務を担当する。 業績悪化先に対する返済条件のリスケジュールを毎月のように行う。 数多くの業績悪化先の特徴を見る中で、資金繰りが悪化する原因についてわかるようになる。 世の中の中小零細企業の資金繰り改善を目指すため独立。 得意分野は業績悪化先に対するリスケの実行支援。

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