ファクタリングの2社間と3社間の2つの違い
銀行に融資を申し込んだが業績が悪化しているため、融資を断られてしまった。
ただ、仕入れや外注費などの支払いで、どうしても立て替え資金が必要である。
このままではせっかくの受注を逃してしまう。
知り合いの経営者から売掛金を買い取ってもらうファクタリングという資金調達方法があることを知ったが、 2社間と3社間のファクタリングの違いがわからない。
そこで、本日はファクタリングの2社間と3社間の違いをご説明していく。
弊社がクラアント様に実際にお伝えしている内容をお伝えしていく。
まず、弊社ではファクタリングの前にリスケをおすすめしている。
リスケとは銀行の毎月の返済額を減らす方法で、毎月の返済額をゼロや減額することができる。
リスケを先におすすめしている理由はファクタリングに比べ手数料が大幅に安いからである。
まだ、リスケをしていない場合は、先にリスケを検討した方がいい。
1.ファクタリングとは
まず、ファクタリングとは売掛金をファクタリング業者に買い取ってもらい早期に売掛金を現金化してもらう方法である。
ファクタリングをすることによって、売掛金の回収期間を早めることができる。
ファクタリングは売掛金の全額を買い取ってもらえる訳ではなく、ファクタリング業者によって80%~90%程度の掛け目が決まっている。
例えば1000万円の売掛金がある場合、800万円~900万円の間で売掛金の売買が行われることが多い。
ファクタリングの特徴は最短で数日で入金があることである。
売掛金の買い取りのため、売掛先をみて判断しているので売掛先が優良先であって確実に入金が見込まれる場合は数日で入金されることもある。
また、ファクタリング業者は売掛金の買い取りのため、貸金業にはあたらず手数料についても規制がない。
では、次に2社間ファクタリングについてご説明していく。
2.2社間ファクタリングとは
2社間ファクタリングとは、ファクタリング業者と事業者の2社間で行うファクタリング方法である。
下図が2社間ファクタリングである。
2社間ファクタリングの流れとしては、
①売掛先から売掛金発生
②事業者とファクタリング業者で売掛金の売買契約が成立したら、手数料を引いた現金が振り込まれる
③売掛先から売掛金が事業者へ支払われる
④事業者がファクタリング業者へ入金された売掛金の支払いをする
となる。
3.3社間ファクタリングとは
3社間ファクタリングとは、事業者、売掛先、ファクタリング業者の3社間で行うファクタリング方法である。
下図が3社間ファクタリングである。
3社間ファクタリングの流れとしては
①売掛先から売掛金が発生
②すでに発生している売掛金を、事業者が売掛先に対して入金をファクタリング業者にしてもらうよう依頼する。
③売掛先が入金をファクタリング業者にすることを承諾する
④売掛先から承諾をしてもらったら、ファクタリング業者から手数料を差し引いた現金が振り込まれる
⑤売掛金の入金期日に売掛先からファクタリング業者に入金される
といる流れになる。
4.2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違い
ここからは、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いを具体的にご説明していく。
4-1.売掛先(取引先)へ知られる
まず、一番大きな違いとしては2社間ファクタリングでは、事業者とファクタリング業者でのやりとりになるため、売掛先(取引先)にファクタリングをしていることを知られることはない。
だが、3社間ファクタリングの場合は事業者、ファクタリング業者、売掛先(取引先)の3社で行うことになるため、売掛先にもファクタリングを行っていることを知られることになる。
売掛先(取引先)にファクタリングをしていることが知られた場合、事業者の資金繰りが回っていないのではないかと勘繰られる可能性がある。
資金繰りが悪化していることを売掛先が知った場合は、取引を打ち切られる可能性もある。
取引が打ち切られた場合、売上も減ることになるので資金繰りはさらに厳しくなる。
取引を打ち切られたら、資金ショートをしてしまうことに繋がる可能性もある。
そのため、実務では2社間ファクタリングを選択される事業者が多い。
4-2.手数料の違い
ファクタリングの手数料について、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは大きく違ってくる。
2社間ファクタリングでは、買い取ってもらう売掛債権額の10%~20%程度となる。
年間に換算すると、120%~240%となる。
手数料が高い理由としては、2社間ファクタリングは事業者に売掛先から一度入金されてから、ファクタリング業者に支払われるため、事業者が倒産してしまったらファクタリング業者は回収不能になるケースがある。
一方、3社間ファクタリングでは、買い取ってもらう売掛債権額の1%~10%程度となる。
年間に換算すると12%~120%程度となる。
2社間ファクタリングより手数料は安い。
その理由としては、3社間ファクタリングの場合は、売掛先から直接ファクタリング業者に入金されるため、事業者が倒産したとしてもファクタリング業者は100%回収できるからである。
そのため、ファクタリング業者からしたら2社間ファクタリングはリスクが高ので手数料は高めに設定し、3社間ファクタリングはリスクが低いので手数料は安めに設定するのである。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは、2社間ファクタリングの方が手数料は圧倒的に高くなる。
5.ファクタリングは最後の手段
私がコンサルティング業務の中でクライアント様にご説明しているのが、ファクタリングはリスケをして、経費削減をしてノンバンクのカードローンも利用したがそれでも資金が足りない場合に利用することをすすめている。
また、ファクタリングを利用する場合は、受注はあるが入金があるまでの仕入れや外注費支払いなどの立て替え資金としての利用の場合のみおすすめている。
それはなぜかというと、ファクタリングの手数料が圧倒的に高いからである。
例えば、2社間ファクタリングで毎月安定的に500万円分の売掛金を手数料10%でファクタリング業者によって買い取ってもらったとする。
この場合、売掛金の入金サイトは早くなり資金繰り一時的に楽にはなるが、手数料が50万円とられるため入金は450万円となる。
単発の取引であれば、その450万円で仕入れや外注先支払うことができ、受注もこなすことができるだろう。
単発であれば、1回の手数料ですむ。
ただし、毎月同じ取引先から発生するような売掛金(入金は月末締めの翌月末払い)をファクタリングしてしまうと、今月は大丈夫だが今月をファクタリングで乗り切れたとしても来月の入金が減ってしまうため、再度ファクタリングを利用しないと資金繰りがまわらなくなる。
今回の事例の場合、毎月50万円の手数料がとられることになる。
つまり、1年間ファクタリングを利用した場合、年間600万円(50万円×12カ月)の手数料を支払うこととなる。
はたして毎月50万円(年間600万円の手数料)の手数料を払って、会社に利益が残るのか?
結論から言うと、継続的にファクタリングを利用した場合、利益が吹き飛ぶケースが多い。
下手をするとさらに赤字になる。
ファクタリングのイメージとしては給与の前借りに近い。
一度、前借りをしてしまうと次の月も前借りしないと資金がまわらないことが多い。
ファクタリングの本質は、売掛金の入金が早くなることなので、銀行融資などのように新たに資金が増える訳ではない。
しかも、高い手数料がとられる。
そのため、弊社ではファクタリングの利用は最後の手段で且つ単発の利用のみをおすすめしているのである。
現に私にお電話でのご相談があった経営者の方で、上記の理由でファクタリングをやめたくてもやめられないとのご相談をうけた。
結局その会社はファクタリングから脱却できずにその後、倒産している。(コンサル契約に至らなかったが偶然、官報で見つけてしまいました)
継続利用のファクタリングから脱却する方法は今よりも安い手数料のファクタリング業者に切り替えて利益が出るようにするか、又はファクタリングを利用しても利益が出る単価に設定し会社にお金を貯め、ファクタリングをしなくても資金をまわせる状態にするかである。
ファクタリングを利用して利益が出るならばいいが、ファクタリングを利用して赤字になるようならば、ファクタリングは利用しない方がいい。
ファクタリングをどうしても利用しないと資金繰りが回らないなら、手数料を徹底的に比較して、手数料が安いファクタリング業者と取引することをおすすめする。
まとめ
ファクタリングとは売掛金を売却して、資金調達する方法である。
ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2通りがある。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いとしては
- 売掛先(取引先)に知られるかの違い
- 手数料の違い
である。
ファクタリングは単発で利用するなら最後の手段としていい方法であるが、手数料の高いファクタリング業者を長期的に利用してしまうと赤字になってしまったり、赤字幅が増加してしまったりする場合があるので、利用する際はファクタリングを利用しても会社に利益が残るかを検討していただきたい。
田烏武
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