リスケを失敗してしまった原因と5つの対処法
ここ最近は売上が減少してきており、資金繰りが苦しくなってきている。
そこで、銀行にリスケの交渉をしたがリスケを認めてもらえなかった。
このままだと資金繰りがショートしてしまうため、何とか銀行にリスケを認めてもらいたい。
ただ、リスケの交渉がなぜ失敗してしまったのかわからない経営者の方も多いだろう。
そこで、本日はリスケの交渉を失敗してしまった時の対処法をご説明していく。
弊社が実際にクライアント様にお伝えしている内容をご説明していく。
1.リスケを認めてもらえなかった理由を知る
まず、一番始めにすることはなぜリスケを認めてもらえなかったのかの理由を知ることである。
リスケを認めてもらえない原因はいくつかあるが、その理由を知らなければ対策を打つことはできない。
銀行員の説明でリスケを認めない理由を言わない場合や説明が理不尽なものもあるため、なぜリスケができないかを必ず銀行員に聞くことが重要である。
2.リスケを失敗してしまう原因
それでは、ここからはリスケを失敗してしまうよくある原因についてご説明していく。
2-1.追加融資をうけて間もないケース
まず、私が銀行員時代に一番やられたくなかったのが、追加融資をして1カ月~2カ月でリスケを依頼された場合である。
追加融資をして1カ月~2カ月で返済ができなくなる状況になった場合、担当者として融資先の返済能力があるかどうかの見極めができなかったのかと、支店長や本部の融資審査部から指摘されるからである。
基本的にリスケになってしまう会社の業績は、悪化している事が多い。
当然、銀行内での審査も厳しく、担当者としては必死に稟議書を書いて、支店長や本部の融資審査部を説得して、やっと通した案件なのに追加融資をしてから1カ月~2カ月でリスケの依頼されてしまうと、担当者は責任を問われる場合がある。
そのため、追加融資をしてからすぐのリスケは、認められない事がある。
なので、できれば半年程度、間を空けていただけるとリスケも応じてもらいえる可能性も上がる。
2-2.他の銀行の借入をリスケしない
銀行がリスケを認めないケースであるのが、他の銀行の借入をリスケしない場合である。
リスケをする場合は他行一律同条件というルールがある。
他行一律同条件とは、すべての銀行を同時に同じ条件で、リスケをしないといけないというものである。
複数の銀行で借入がある場合、一方の銀行の返済をリスケして、もう一方の銀行はそのまま返済し続けることは、他行一律同条件に反する行為である。
これは、債権者である銀行の公平性を保つためでもある。
当然、リスケを依頼された銀行は、もう一方の銀行にそのまま返済するのならリスケは認めないのである。
複数の金融機関から借入がある場合は、他のすべての銀行の借入をリスケすることで、リスケを認めてもらいやすくなる。
2-3.粉飾決算をしている場合
粉飾決算をしている場合は、リスケを認めてもらえないケースがある。
それは、銀行からの信用を失ってしまっているからである。
粉飾決算とは、金融機関を欺く行為であり、決してやってはいけない。
銀行としても、今まで決算書を信じて、融資をしてきたのに裏切られたと思い、その後の支援を止めることがある。
支援を止めるというのは、追加融資はもちろんのこと、リスケにも応じられないというケースもある。
粉飾決算をしているケースは、一番大事な事は誠実さである。
一度、信用を失ったものを回復するのは時間がかかるため、とにかく誠実な対応を心掛ける。
金融機関と誠実に対応をし続ける事によって、リスケを認めてもらえる可能性が上がる。
金融機関としても、倒産されたら融資が回収できなくなるリスクもあるため、リスケを認めてもらえるケースもある。
2-4.リスケに必要な書類を作成していない
銀行がリスケを認めないことが多いのが、リスケに必要な書類を作成していない場合である。
必要書類とは経営改善計画書、資金繰り表である。
銀行もリスケを認めるにあたって、今後どのように経営を改善していき、通常返済に戻していくのかを経営改善計画書で説明してもらわないと納得しない。
そのため、経営改善計画書や資金繰り表などの必要書類をまったく作成していない場合は、経営を改善する意思がないとみなされ、銀行はリスケを認めない場合がある。
リスケをするために必要な書類は
- 経営改善計画書
- 資金繰り表
- 試算表
である。
上記の3点をまず準備する必要がある。
必要書類を準備することでリスケを認めてもらいやすくなる。
リスケをする手順についてはこちらの「元銀行員が教える!1ヶ月で資金繰りを改善できるリスケという方法」で詳細に説明しているので参考にしてほしい。
2-5.経営改善計画書の実現可能性が低い
リスケに必要な書類は作成したがリスケを認めてもらえない場合がある。
それは、作成した経営改善計画書の実現可能性が低い場合である。
経営改善計画書はただ作成すればいいわけでなく、立てた計画を実行して経営を改善していくことが目的となる。
立てた計画の80%を達成できなければ、不良債権になる場合が多いため実現可能性が高いものを作成する必要がある。
例えば、今まで1億円の売上実績しかあげたことがない中小企業が数年後に3億円の売上になる計画のものについて、銀行は実現可能性が低いとみることが多い。
それは、過去の実績ベースから銀行は実現可能性が高いかを判断することが多いためである。
もちろん売上計画に根拠があれば問題ないが、何の根拠もなく右肩上がりに売上が増加するような計画は、銀行はリスケを認めない場合がる。
実現可能性がある経営改善計画書を作成するには
- 売上目標、利益目標は根拠を明確にして作る
- 売上目標は過度に上げ過ぎない
ことである。
売上目標の根拠を明確にするには客数と客単価を記入する。
売上は客数×平均客単価×平均購入回数で計算される。
そのため、売上の根拠を立てるには客数を増やす方法や客単価を上げる方法を具体的に何人増やすのか、いくら客単価を上げるのかを経営改善計画書に記入すると具体性が増す。
売上の根拠を明確にして経営改善計画書を作成することができれば、リスケを認めてもらいやすくなる。
経営改善計画書の作り方についてはこちらの「リスケをするために必要な経営改善計画書の8つのポイント」で詳細に説明しているので参考にしてほしい。
まとめ
リスケの交渉が失敗してしまった場合でも、リスケを認めてもらえる可能性はある。
リスケが失敗する原因で多いのは
- 追加融資をして間もない場合
- 他の銀行の借入をリスケしない
- 粉飾決算をしている場合
- リスケに必要な書類を作成していない
- 経営改善計画書の実現可能性が低い
である。
一度リスケを失敗してしまった場合でも、リスケを認めてもらえなかった原因を確認し、その原因を解決することでリスケを認めてもらえる可能性は格段に上がる。
田烏武
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