すぐに効果がでる!資金繰りショートを回避する5つの方法
コロナウイルスの影響で、売上が激減し、資金繰りが厳しい。
資金繰りは会社経営にとって、とても重要なことだ。
なぜなら、資金繰りがショートしたら、会社は倒産してしまうからだ。
銀行から融資を断られて、資金調達できないときでも実践できる方法はある。
本日は、元銀行員が資金ショートを回避する方法を、実際に弊社が行っていることをご紹介していく。
1.資金繰りショートを回避するには
資金繰りのショートを回避するには、
①入金を早める
②支出を遅らす
③入金を増やす
④支出を減らす
⑤借入をする
⑥借入返済を減らす
の6パターンしかない。
この①~⑥の中で最も早く資金繰り改善に効果が見込めるのは、④支出を減らすである。
資金繰り改善効果が早く出るのは
・支出を減らす
・借入をするか借入返済を減らす
である。
入金を早めると支払いを遅らすのは、交渉が必要となるため、時間がかかる事もある。
また、そもそも契約条件で決められており、できない場合もある。
最後に上の⑥パターンの中で最も、時間がかかるのが入金を増やすである。
これは、いわゆる利益を出して、入金を増やしていく方法であるため時間がかかる事が少なくない。
そもそも売上が減少し、利益が減少してきて、資金繰りのショートが起こりそうなのに、すぐに売上を増加しろと言われても難しい事が多い。
資金繰りの基本的な考えは、入金を増やすよりも支出を減らす方が簡単という事である。
資金繰りショートが迫っているような緊急時は、さらに踏み込んで支出を減らしていく必要がある。
では、まず、最も早く効果がある支出を減らす方法をご説明していく。
2.緊急時の支出を減らす方法
では、ここからは支出を減らす具体的な方法についてご紹介していく。
2-1.リスケジュールを行う
リスケジュールとは銀行への毎月の借入返済額を減らせる方法だ。
この方法は銀行への毎月の返済額を減らすことにより、支出を減らすことができる。リスケジュールを行えば、追加の借入が難しくなるが、すでに追加の借入ができないのであればリスケジュールをしてもあまり変わらない。
それよりも、毎月の支出を減らすことの方が重要である。
そのため、リスケジュールをまだ行っていないのであれば、早急に行ってほしい。
リスケジュールの詳細な実行方法についてはこちら「元銀行員が教える!1ヶ月で資金繰りを改善できるリスケジュールという方法」を参考にしてほしい。
2-2.税金・社会保険料を分割で支払う
所得税などの税金と社会保険料の支払いは分割で納付することができる。
本来であればきちんと期日通りに納付しなければいけないものだが、どうしても資金繰りがショートしそうな場合は、相談すれば分割で納付することもできる。
税金と社会保険料の金額は大きいため、分割で支払うことができれば支出はかなり減らすことができる。
税金の相談は最寄りの税務署、社会保険料については最寄りの年金事務所に相談する。
何も相談せずに、税金や社会保険料を支払わずにいると、税務署や年金事務所から銀行の預金や売掛金などを差し押さえられることがあるため、注意が必要だ。
また、税務署や年金事務所に相談に行くときは必ず資金繰り表を持参するようにしよう。
資金繰り表を持参することによって、資金繰りがいつショートするのかを担当者に説明できるからだ。
交渉時は資金繰りがショートしそうだから、分割で納付したいという旨を伝えて交渉する。
分割納付の際は無理をせず納付できる金額にして、決して無理な計画を立てないことだ。
無理な計画を立てて、計画通りいかないと担当者に次回以降、分割納付を認めてもらえなくなることがある。
税金・社会保険料の分割納付は資金繰り表をもとに納付計画をたてる必要がある。
資金繰り表の作り方を具体的に学びたい方はこちらの「初心者でも1日で資金繰り表の作り方がわかる6つの手順」を参考にしてほしい。
2-3.仕入先へ支払いを待ってもらう
仕入先への支払いを待ってもらうことにより、支出を減らす。
ただし、仕入先へ支払いを待ってもらう場合は、今後の取引を切られる恐れがあるため慎重に行わなければならない。
仕入先への交渉は支払いを待ってもらっても事業の継続ができそうな先から交渉していく。
例えば財務内容が良さそうな取引先と悪そうな取引先があれば、財務内容が良さそうな会社からといった具合だ。
これは財務内容がいい会社であれば支払いを待ってもらえる可能性が高くなるからだ。
ただし、財務内容が良さそうな取引先でも支払う金額があまりにも少なく場合は、あまり効果が出ないので、その場合は支払い金額が大きい取引先に交渉する必要がある。
交渉する際はいつなら支払うことができるのかを説明できるように資金繰り表を持参するようにしよう。
仕入先に手形で支払いをしている場合は、手形の支払い期日を延期してもらうように交渉する。これを手形ジャンプという。
手形ジャンプの方法は
・新しい手形を発行する
・手形の支払期日を訂正する
の2つある。
万が一、手形が不渡りになってしまったら、銀行に信用不安の情報が流れてしまうため、手形ジャンプを依頼する場合はギリギリではなく早めに行うようにしよう。
なお、手形ジャンプは取引先が手形割引をしている場合や裏書手形として他の取引先に手形をまわしてしまっている場合はできない場合もあるので早めに確認する必要がある。
裏書手形とは受けとった手形を取引先への支払いのために譲り渡すこと。手形を譲り受けた会社は手形の裏に受けとった証拠として会社名を記入する。
2-4.社員の給与を削減もしくは遅らせてもらう
社員の給与を削減もしくは給料日を遅らせてもらうことで支出を減らすことができる。
ただし、社員の給与の削減や給料日を遅らせる場合は、今後社員が退職してしまう可能性があるので慎重に行わなければならない。
社員が辞めていなくなってしまって事業の継続ができなくなってしまっては元も子もないからだ。
辞めた社員から信用不安の情報が漏れることもあるので注意が必要である。
社員の給与の削減や給料日を遅らせる場合は事前に社員と交渉する必要がある。
2-5.その他経費を待ってもらう
その他経費とは事業を継続していくのにあまり関係ない経費のことだ。
事業の継続をするためには最低限必要な経費を支払わないといけない。
例えば家賃や水道光熱費などを支払わないと事業が継続できなくなる場合は優先的に支払わないといけないが、事業の継続にさほど影響のない経費は支払いを待ってもらえるよう交渉する。
3.支出を減らす優先順位
支出を減らす優先順位を間違えると事業の継続が続けられなくなる場合があるため、支出を減らす順番も重要となる。
支出を減らす優先順位は
- リスケジュールをして毎月の返済額を減らす
- 税金・社会保険料を分割で支払う
- その他経費を待ってもらう
- 仕入先へ支払いを待ってもらう
- 社員の給与の削減もしくは給料日を遅らせる
となる。
これは事業の継続を優先的に考えた順番である。
銀行や税金の支出を減らしても事業は継続できるが、仕入先への支払いや社員の給与が払えなくなれば取引先を失う可能性もある。
また、社員が辞めていけば運営自体がまわせなくなる可能性もあるので慎重に判断する必要がある。
資金繰りのショートを回避しかつ事業の継続ができるように支払いの優先順位はしっかりと確認していただきたい。
まとめ
資金繰りのショートを回避するには支出を減らすことが最も効果的である。
支出を減らす方法と優先順位をもう一度確認しておこう。
- リスケジュールをして毎月の返済額を減らす
- 税金・社会保険料を分割で支払う
- その他経費を待ってもらう
- 仕入先へ支払いを待ってもらう
- 社員の給与の削減もしくは給料日を遅らせる
となる。
資金繰りがショートしそうな時は、今日の記事を参考にし実践してみてほしい。
田烏武
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