リースバックで資金調達するために知っておく4つの事
コロナウイルスの影響で、売上が激減し、資金繰りが苦しい。
銀行に融資の申込をしたが、断られてしまった。
このままだと、資金ショートしてしまう可能性がある。
そこで本日は、銀行融資以外で資金調達ができるリースバックという方法をご紹介していく。
1.リースバックとは
リースバックとは会社の工場や機械、経営者の自宅などの資産を一旦リース会社や投資家に売却して資金調達を行い、リース契約を結び使用する方法である。
リースバックは銀行融資を断られてどうしても一時的に資金が必要な場合に、検討するといいだろう。
では、リースバックのメリットとデメリットをご説明していく。
1-1.リースバックのメリット
リースバックのメリットとしては
- 資金調達ができる
- 現状のまま使い続けることができる
ことである。
工場・機械・自宅などを一旦売却し資金調達するため、銀行融資を断られていても資金調達ができる。
また、売却と同時にリース契約を結んでいるので、現状のまま使い続けることもできる。
例えば銀行に自宅を担保に入れている場合、売却することで経営者自身の資産では無くなるが、家賃を払い続けていれば競売や任意売却で自宅をとられずに済み続けることができる。
また、リースバックの契約を結ぶ際には、数年後に買い戻しができるように特約をつけるケースも多いため、業績が回復すれば再び買い戻すこともできる。
そのため、リースバックは経営者の自宅を守る方法としても使われる場合もある。
1-2.リースバックのデメリット
リースバックのデメリットとしては、
- リース料を新たに払わなければいけない
- 売却価格が市場価格の70%~80%程度になる
である。
リースバックのデメリットは自社(自分)の資産ではなくなるため、リース料を新たに払わなければいけなくなる。
年間のリース料については、売却価格の10%程度になることが多い。
つまり、高く売却できた場合は多く資金調達は多くできるが、リース契約を結ぶ際は年間のリース料は高くなるのである。
また、リースバックは市場価格の70%~80%程度での売却価格になる。
売却価格が市場価格の70%~80%になる理由としては、リース会社や投資家の立場からしたら、借主がリース料を払えなくなった場合にすぐに売却できるようにするためである。
市場価格で売却できないリスクを軽減するために、リースバックをする場合は市場価格よりも安くなるのである。
そのため、経営者で今の自宅にこだわりがない場合などは、市場価格で任意売却した方がいいケースもある。
2.リースバックができないケース
ただし、リースバックができないケースもある。
次項でどのようなケースでリースバックができないかご説明していく。
2-1.リースバックでの売却価格よりも借入が多い場合はできない
例えば、会社の工場や自宅に銀行の担保がついていて、売却価格よりも借入の方が多い場合はリースバックできない。
これは、銀行に借入の全額を返済することができないためである。
そもそも、銀行に担保が入っている場合は、銀行に担保を解除してもらわないと勝手に売却することはできない。
リースバックは、市場価格よりも安く売却しなければならないため、極大回収が命題の銀行は、安く売ることは認めない。
例えば、自宅の市場価格が3000万円あり銀行の借入3000万円の担保がついているケースは、リースバックで売却すると
リースバック2100万円(市場価格の70%) < 借入3000万円
となり、借入が全額返済できない。
銀行とすれば市場価格で売却してもらい、貸したお金を全額回収したいので、このケースではリースバックを認めないことが多い。
銀行にリースバックでの売却を認めてもらわなければ、担保解除をしてもらえないのでリースバックができないのである。
市場価格と同等の値段で売却する場合は問題ないが、今度は次でご説明するリース料が払えないケースが問題になってくる。
2-2.リース料が払えないケースはリースバックできない
リースバックができないケースで多いのが、リース料が高額になり払えないケースである。
年間のリース料は、売却価格の10%程度のため、例えば
リースバックを3000万円で実行した場合は、年間のリース料は
売却価格3000万円×年利10%=年間リース料300万円
となる。
この年間リース料が、払えないケースはリースバックをすることができない。
リース料を滞納したらリース契約の解除となり、工場や自宅などは退去させられたり機械であれば引き上げられたりするため、リース料が払えそうもない場合はそもそもリースバックをしない方がいい。
まとめ
銀行から融資を断られたら、会社の工場や機械や自宅などを売却してリースしてもらうリースバックという方法がある。
リースバックをすることにより、銀行融資以外で資金調達をすることができ且つ今まで通り使い続けることができる。
ただし、銀行の借入額がリースバックの売却額より多い場合やリース料が払えない場合はリースバックをすることができない。
リースバックはメリットとデメリットがあるため、自社の状況をみて選択する必要がある。
田烏武
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