中小企業のための10の資金繰り改善方法
あなたは今、資金繰りが悪化していて苦しんでいないだろうか?
資金繰りを改善する方法を知りたいが、何をどうやってすればいいのかわからない。
そもそも何で資金繰りが悪化しているのかが、わからないという経営者の方も多いだろう。
そこで、本日は資金繰りが悪化した時の改善方法をご紹介する。
弊社が実際に資金繰りの改善に効果がでた方法をご紹介していく。
1.資金繰り悪化の要因
資金繰りを改善させるにはまず、資金繰りを悪化させている要因がどこにあるのかを把握する必要がある。以下の項目に見覚えはないだろうか。
・赤字
・過剰な在庫
・売掛金の回収期間の長期化
・受取手形の増加
・借入金額の増加
・売上の急激な増加
・過剰な設備投資
・売上シェアが高い取引先の倒産
・社員教育不足
などがある。
ご自分の会社に当てはまる要因を確認したら、次は2章でご紹介する改善方法の中からマッチするものを選んで実践していただきたい。
2.資金繰り改善方法
ここからは、具体的な資金繰り改善策について詳しく解説していく。
2-1.経費の削減
まず、経費の削減を行う事が資金繰りを改善するのに最も早い方法である。
経費にもいろいろと分類されるが、無駄な経費がある場合は真っ先にカットしていかなければならない。
売上に結びつかない接待交際費などである。
また、広告宣伝費なども費用対効果をきっちりと見極めて、検討していかなければならない。
ただ、売上に連動してくる経費まで削減してしまうと、さらに売上が下がってしまうので注意が必要である。
経費の中でも固定費を削減できれば、損益分岐点が下がり、効果的になる。
固定費とは売上に関係なく毎月発生する費用のことである。
固定費を削減することで毎月発生する費用を削減できるため、資金繰りが改善する。
例えば、利用していない新聞や会員費などがある場合は、どんどんカットしていく。
固定費の削減の項目は、その会社によって様々な方法がある。
まずは、自社の固定費の内訳を把握し、金額が大きいものから見直していくといい。
中小企業の場合は、あまりやりたくはないが、このままでは倒産してしまう場合は、社員の給料カット、リストラなども、検討せざる得ない事もある。
給料カットやリストラをする場合は、事前に社員と交渉する必要がある。
2-2.在庫の削減
需要の予測を誤り過剰な在庫状況になっている場合は、在庫を削減することにより資金繰りは改善する。
在庫を削減するには需要予測をしっかりと立て、過剰な在庫を持たないようにすることが重要である。
また、大量に仕入れると仕入先から値引きをしてもらえる場合があるが、仕入れてもすぐに売れる予定がない場合は在庫が増加してしまうため避けるべきである。
在庫を削減することにより、倉庫代などの保管費、在庫を管理する人件費などの経費削減にもなるため、資金繰りの改善に繋がる。
2-3.売掛金の早期回収
売掛金の回収を早くすることで、資金繰りは改善される。
例えば取引先の売掛金の管理をするために売掛金リストなどを作成し、期日が遅れるような先には期日管理を徹底することが必要である。
期日管理をする方法は下図のような表を作成して期日管理をする。
また、新たに取引を始める際の売掛金の回収条件は、手形での代金回収は避けるようにしたい。
売掛金の代金を手形で回収すると、資金化されるのは手形が決済される3ヶ月後から6ヶ月程度に延びてしまうからだ。
2ー4.買掛金の支払い延期
取引先の支払いを延期することで資金繰りは改善する。
仕入れ代金など、支払い期間を延ばすことにより、手元資金が残るからである。
支払いを延ばす方法は支払日を変更してもらったり、手形での支払い条件に変更してもらう方法がある。
例えば支払日を変更する場合は今までは月末払いであったが翌月の10日払いに変更といった場合である。
ただし、支払い日の変更などを依頼する場合は取引先が承諾してくれない場合があるため注意が必要である。
2-5.資金調達(融資)
融資をうける事ができれば、資金繰りは改善される。
ただ、赤字をずっと垂れ流している状態だと、いずれ銀行融資は打ち切られるので、注意が必要である。
また、売上が増加する時は商品も多く仕入れ、販売額も多くなり、人件費なども多くなるため、在庫、売掛金、経費は増加する。
しかし、資金が入金されるまでの運転資金が必要になってくるため、入金されるまでの立て替え資金を銀行から融資をうける必要がある。
銀行は売上が伸びている場合の融資には積極的なため、融資はうけやすい。
ただし、売上が伸びていても利益が出ていることが必要なため、利益が出ているかを試算表、決算書などでしっかりと把握しておいてほしい。
利益が出ていないのに、売上の拡大をしていくと大赤字となり、資金繰りはさらに悪化するため注意が必要だ。
2-6.借り換え
借り換えとは、既存の借入れを新たな借入でまとめる方法だ。以下の表を見てほしい。
例えば現在残高1,500万円(当初2,000万円)を3年返済で借りて、毎月の返済額が約56万円とする。
現在の残高が1,500万円のため、これを500万円増額して2,000万円の7年返済で借り換えを行うと、毎月の返済額は約24万円になる。
今まで3年で返済していたものから借り換えで7年に返済するだけで、毎月の返済額は約32万円(56万円ー24万円)減少する。
年間に換算すると返済額は約384万円減らすことができる。
このように、借り換えをすることで返済期間を伸ばすことができる。
返済期間を延ばすことにより、毎月の返済額が抑えられるため、結果として資金繰り改善に結びつく。
2-7.手形割引
受取手形が増加している時は、銀行から手形割引という融資をうけることで資金繰りの改善に繋がる。
手形割引とは、銀行に手形の決済日までの利息を払い買い取ってもらい、融資をうける方法である。
手形割引を行えば、手形の期日前に資金化することができるため、資金繰りは改善する。
手形割引については、こちらの「銀行で手形をすぐに資金化できる手形割引という方法!」を参考にして頂きたい。
2ー8.リスケジュール
リスケジュールとは、銀行や信用金庫への毎月の返済を猶予したり減額したりできる方法だ。
リスケジュールは、銀行融資が受けられない時に効果的な方法である。
リスケジュールを行えば、毎月返済額を減額することができるため資金繰りは改善する。
リスケジュールについての詳細な解説は「元銀行員が教える!1ヶ月で資金繰りを改善できるリスケジュールという方法」に目を通してほしい。
2-9.遊休資産の売却
使用していない設備や土地などの遊休資産があれば、売却してしまうことで手もとに資金が入ってくるため、資金繰りの改善に繋がる。
また、遊休資産の売却をすることで固定資産税の税金の支払いもなくなるため資金繰りは改善する。
2-10.過度な節税はしない
過度な節税をしすぎると、手もとに資金が残らないため資金繰りは悪化する。
例えば今期の決算で100万円の利益が見込める場合、節税のために100万円分の経費を使ってしまうと利益はゼロになるため税金も払わくていい。
しかし、節税せずに100万円の利益をだして税金を支払うと、仮に税率を40%とすると40万円の税金を支払うことになるが、60万円(100万円ー40万円)手もとに残る。
節税をするために100万円の経費を使うより、節税せずに利益をだした方が60万円手もとに資金が残る。
あまり節税を意識しすぎると無駄な経費を使ってしまい、かえって資金繰りを悪化させてしまうので注意が必要だ。
まとめ
資金繰りを改善する方法は複数あるが、できそうな施策から行なっていって、資金繰り改善の癖をつけていただきたい。
最後に、資金繰り改善のポイントをもう一度確認しておこう。
・固定費を削減する
・在庫を削減する
・売掛金の早期回収をする
・取引先への支払いの条件を延ばす
・資金調達(融資)をする
・借り換えをする
・手形が多い場合は手形割引をする
・リスケジュールをする
・遊休資産の売却をする
・過度な節税はしない
これらの改善方法を意識して、自身の会社に合った資金繰り改善方法を選んでほしい。
田烏武
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