1%以下は当たり前?銀行の融資を安い金利でうける7つの方法

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日銀銀行から融資をうける際に金利は何%で借りることができるのだろうか?

マイナス金利の影響で安い金利で融資がうけられると聞いたが、他の会社がどのくらいの金利で借りているのかわからない。

そこで本日は銀行から融資をうける際に金利がどのように決定されるのかをご紹介していく。

1.銀行融資の金利の仕組み

金利は様々な要素によって決まってくるため、どの企業も同じではない。

そのため、まず銀行の融資金利の仕組みについてご紹介していく。

1-1.背景

まず、銀行の融資金利は市場の金利によって大きく左右される。

市場の金利とは日銀(日本銀行)が政策によって決めているものである。

下図が政策金利の推移である。

政策金利

政策金利の推移については日銀のサイト(引用元)からみることができる。

1990年前後のバブル期の金利は8%程度の金利水準であったが、バブル崩壊とともに金利は下落し、1999年2月にゼロ金利政策により、金利はほぼゼロになり、2016年2月には日本初となるマイナス金利が導入され、遂に金利はマイナスに突入した。

また、現在は人口が減少しているにも関わらず、金融機関の数が多すぎるために過度な金利競争となり、金利の低下を引き起こしている。

特に中小企業向け融資ではマイナス金利の影響よりも、金融機関同士の金利競争の過熱により低金利で借りられる場合が多い。

1-1-1.中小企業向け融資は短期プライムレートを基準にする金融機関が多い

マイナス金利が導入されたことで全体的な金利水準は低下した。

ただし、マイナス金利が導入されたからといって中小企業の融資金利もマイナスになるわけではない。

融資金利は短期プライムレートと呼ばれる指標を基準に決めている金融機関が多いからだ。

短期プライムレートとは優良企業向けに1年以内の返済となる短期融資に利用される最優遇金利である。

短期プライムレートは銀行の規模によって金利が変わる。

三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行などのメガバンクでは短期プライムレートは1.475%である。

メガバンクは調達する金額も大きいため調達コストは安くなり、地方銀行や信用金庫は調達する金額も小さくなるため、調達コストは高くなる。

そのため、規模が大きいメガバンクほど短期プライムレートは安くなり、地方銀行、信用金庫と規模が小さくなるにつれて短期プライムレートは高くなる。

実は中小企業向け融資によく利用される短期プライムレートはマイナス金利導入後もメガバンクの金利も1.475%で推移しており、短期プライムレートはマイナス金利の影響をまだうけていない。

地方銀行は2%前後の短期プライムレートで現在も推移している。信用金庫については短期プライムレートは地方銀行よりも若干高いがそれほど変わらない。

地方銀行や信用金庫も短期プライムレートはまだ引き下げられていない。

本来であれば、政策金利によって短期プライムレートも下がるはずであるが、金融機関側が短期プライムレートを下げてしまうと収益性が悪化することを懸念して下げていない可能性がある。

今後、金融機関の短期プライムレートが引き下げられれば、中小企業向けの融資金利も下がることになるであろう。

1-2.銀行の融資金利の決め方

では、銀行の融資金利が短期プライムレートを基準にしている所が多いことをふまえて、具体的に計算方法をご説明していく。

銀行の融資金利は

①調達コスト+②経費率+③収益率+④信用コスト

で決まる。

一つずつ解説していく。

 

調達コストとは預金を集めるコストである。

企業でいう仕入れのようなものであり、銀行は預金者から預金を集めて、融資をしている。

現状はマイナス金利政策により、普通預金の金利は0.01%などになっており、定期預金のキャンペーンの時でも金利が0.15%程度の銀行が多い超低金利時代である。銀行からすれば、調達コストは安くなる。

 

経費率とは銀行員の人件費や支店の運営などにかかる経費である。

当然、銀行も人件費や運営費用などの経費分を加算しなければならない。

経費率は銀行ごとに違ってくるため、経費率が高い金融機関ももあれば安い金融機関もある。

 

収益率とは銀行の儲けの部分である。

銀行も慈善事業で融資をおこなっているのではないため、収益分を加算しなければならない。銀行によって目標としている収益率が違う。

 

信用コストとは中小企業の倒産する確率である。

これは金融機関が独自で行っている格付けによって決まってくる。格付けとは財務内容によってランク付けされるものであり、個別に倒産確率が変わってくる。

格付けについては今後詳細な記事を公開していく予定である。

信用コストには融資期間、保証協会、担保などを加味して融資先が倒産した場合の損失率がどの程度出るかも加味して計算されることが多い。

融資期間が長くなれば、融資期間が短い場合に比べて貸倒れの率が高くなる傾向があるため信用コストは増加する。

また、保証協会付き融資や担保などがあれば万が一貸倒れた場合でも保全ができているため、信用コストは低下する。

例えば金利全体を決める場合

①調達コスト0.1%+②経費率1.0%+③収益率0.5%+④信用コスト0.4%の場合は融資金利は2.0%となる。

優良企業向け融資の最優遇金利である短期プライムレートは①調達コスト+②経費率+③収益率を加味して算出されている。

そこに融資先の業績に応じて④の信用コストを加算しているのである。

銀行の融資金利はこの4つの項目から成り立っている。

2.安い金利で融資をうける方法

では、ここからはどうすれば安い金利で融資をうけられるかをご説明していくので、しっかりと読みこんでほしい。

2-1.保証協会付きの融資でうける

保証協会付き融資とは47都道県に必ず一つはある信用保証協会に保証をしてもらって銀行から融資をうける方法である。

保証協会付き融資の場合、銀行は融資先が倒産しても融資している資金の80%もしくは100%を保証協会から補てんしてもらえる。

そのため、保証協会付き融資はリスクが低い融資となり金利も安くすることができる。

①調達コスト+②経費率+③収益率+④信用コスト=融資金利

でいうと、保証協会付き融資は信用コストがほとんどないため、金利は安くなる。

保証協会付き融資は制度融資といって、すでに保証協会が金利を決めているものがあり、その場合、金利の幅は固定金利で1.5%から2.0%が多い。

保証協会付き融資でも金利が決まっていない変動金利のものもあり、その場合は金利は銀行が決めるので少しでも安く借りられるように銀行としっかりと金利の交渉をする。

交渉する場合はできる限り固定金利くらいまで下げるもしくはそれ以下まで下げることができないか交渉するといいだろう。変動金利で1.0%以下で借りている中小企業も多くある。

ただし、保証協会付き融資をうける場合に一つ注意してもらいたいのが保証料というものが金利以外に別途手数料としてかかる。

そのため、金利だけではなく保証料についても加算して検討してほしい。

保証料についてはこちらの「保証協会付き融資をうける前に確認したい保証料の7つのポイント」の.保証料の仕組みで詳しく説明しているのでこちらの記事にも目を通してほしい。

2-2.業績が良いほど金利は安くなる

銀行融資の金利は業績が良いほど安くなる。

業績が良いほど金利が安くなる理由は信用コストが下がるからである。

①調達コスト+②経費率+③収益率+④信用コスト=融資金利

信用コストは中小企業の業績を10段階で評価(これを格付けという)してランクが悪くなるほど信用コストが上乗せされる。

1ランク下がるごとに0.125%ずつ金利が上乗せされる場合が多い。

そのため、自社の格付けが現在どの程度なのか銀行の担当者から教えてもらった方がいい。業績が良い優良企業は0.5%前後の金利で借りているところもある。

2-3.融資期間が短いほど金利は安くなる

銀行融資の金利は融資期間が短くなるほど安くなる。

銀行は融資期間が短いほど貸倒れのリスクが低く、融資期間が長いほど業績の変動が起こる確率があがり、貸倒れのリスクが高くなると考えているからである。

①調達コスト+②経費率+③収益率+④信用コスト=融資金利

では、融資期間は④の信用コストに加味される。

融資期間が3年、5年、7年、10年と長くなるにつれて信用コストに0.3%~1.0%くらいまで金利に加算される。

融資期間が長ければ長いほど金利は高くなるので、適当に長めに設定するのはよくない。

融資期間を長めに設定する時は資金繰りが厳しくて毎月の返済を増やしたくない場合に長めに設定する方がいい。

2-4.銀行同士で金利の相見積もりをとる

どの業界の取引でも相見積もりをして価格が安い企業のところで選ぶことがある。これは金融の業界でも同じことである。

融資の提案時に一つの銀行からでなく、銀行同士で金利の相見積もりをとると、銀行同士で金利競争になり、金利が安くなることがある。

ただし、この方法は業績が悪い時にはあまり使わない方がいい。

業績が悪いときは融資をうける方が先決のため、金利は二の次だからである。

メインバンクにも配慮をしていかなければならない。

資金繰りが比較的余裕の時に金利の相見積もりは有効な方法となる。

2-5.新規の銀行で融資をうける時、安い金利で融資をうけられる場合がある

金利を安くする方法として新規の銀行で融資をうける時に、安い金利で融資をうけられることがある。

特に融資のシェアをとるために、他県から新規出店してきている銀行は破格の金利で提案してくることがある。

特別キャンペーンと称して業績が普通の中小企業にも1.0%以下の金利を提案してくる。

愛知県の場合、他県から競合の銀行が進出してきて金利競争が激化してきているため0.5%から1.0%程度の金利で借りている中小企業も多くある。

金利競争の影響で名古屋市内はかなり金利が安くなっている。これを名古屋金利と呼ばれている。

このようにシェアを奪うために新規出店してきた銀行から融資をうける場合、安い金利で融資をうけられることがある。

2-6.スプレッド融資で借りる

1年以内の返済の短期の融資の場合、スプレッド融資を利用すると0.5%前後の非常に安い金利で借りることができる。

スプレッド融資とは業績が良い優良企業が利用できる方法であり、TIBOR(タイボー)の金利を基準にしている。

TIBORとはTokyo Interbank Offered Rateの略で東京市場の銀行間取引金利である。

TIBORは資金が余っている銀行が資金の足りない銀行に直接貸し出す方法である。

銀行間同士で直接貸し出しをする方法のため、一般の市場から調達するよりも金利が低くなる。

TIBORの金利は日本経済新聞に記載されている。

例えばTIBORの3ヶ月ものの金利が0.06%の場合、銀行の儲けを0.5%とすると0.56%の金利で融資をうけることができる。

TIBORについてはこちらの「当座貸越の特徴と4つの条件」の1-2-1.スプレッド貸出でご紹介しているため、目を通してみてほしい。

2-7. 変動金利で融資をうける

銀行から融資をうける場合、変動金利の方が金利は安くなる。

変動金利は市場の金利が変動した場合に、中小企業向けの融資の金利も変動させることができるからである。

逆に固定金利の場合は金利が契約期間中は変えることができないため、市場の金利が上昇したら銀行は損をすることになる。

金利は市場の動向に左右されるため、貸し手の金融機関は金利の変動リスクがある。

金利の変動リスクとは例えば融資をした当初は市場の金利が低かったが数年後に市場の金利が上昇した場合に変動金利であれば銀行は金利を上げることができる。

しかし、固定金利の場合は契約期間中は金利は固定のため、金利をあげることができないため、固定金利の場合は変動金利よりも金利が高くなる。

変動金利で融資をうけた方が金利は安くなる。

ただし、市場の金利が上昇した場合や業績が悪化した場合は金利を上げられることがある。

2-8.金利を安くすることで財務改善もできる

安い金利で融資をうけることができれば、支払利息を削減することができるため、財務改善もすることができる。

特に設備投資をする場合は融資金額も大きくなり、金利が0.1%変わってくるだけでも大きく変わる。

例えば1億円の融資を10年返済、1.6%で借りる場合、10年間で支払う利息の合計は約807万円となり、同じ条件で金利が0.1%下がると支払う利息の合計は約756万円となり、約50万円も削減することができる。

中小企業は財務の安定化を図る意味で、できる限り安い金利で借りられるように努めていく必要がある。

まとめ

中小企業の金利は短期プライムレートといわれる短期市場の金利を利用する。

業績が良い中小企業は銀行間同士で直接資金を貸し出すTIBORの金利を利用することもある。

融資金利の算定式は

 

①調達コスト+②経費率+③収益率+④信用コストとなる。

 

融資金利を安くする方法としては

  • 保証協会付きの融資でうける
  • 業績を良くする
  • 融資期間を短くする
  • 銀行同士で相見積もりをとる
  • 新規の銀行で融資をうける
  • スプレッド融資で借りる
  • 変動金利で融資をうける

となる。

金利を安くすることで財務改善も図ることができるため、金利を安くしたい場合は本記事の内容を実践してほしい。

 

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田烏武

代表取締役株式会社 田烏経営研究所
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し中小企業、個人事業主向けの融資業務を担当する。 業績悪化先に対する返済条件のリスケジュールを毎月のように行う。 数多くの業績悪化先の特徴を見る中で、資金繰りが悪化する原因についてわかるようになる。 世の中の中小零細企業の資金繰り改善を目指すため独立。 得意分野は業績悪化先に対するリスケの実行支援。