リスケを延長するために必要な3つのこと
売上が減少し資金繰りが苦しかったため、半年前に銀行から半年間リスケをしてもらえることができた。
業績を改善するために半年間頑張ってきたが、売上の回復の目途は未だたっていない。
リスケの期限が来月くるが、銀行に再度リスケの延長をお願いしたいが認めてくれるのかわからない。
リスケの延長がもしできなければ、資金繰りがショートしてしまう。
そこで、本日はリスケの延長をする方法をご紹介していく。
弊社がクライアント様に実際にお伝えしている内容をご説明していく。
1.リスケの延長の交渉
まずは、リスケの延長の交渉の流れをご説明していく。
1-1.リスケを延長したい場合は期限の1ヶ月半前から交渉する
まず、リスケの延長をしたい場合は、期限がくる1ヶ月半前から交渉する。
最低でも1ヵ月前からリスケの延長を交渉しなければ、期限に間に合わないこともあるので注意してほしい。
リスケの延長には銀行の本部の承認が必要になることが多く、時間が通常よりもかかることが多い。
銀行の本部が納得しなければリスケの延長ができないため、期限の1ヵ月半前から遅くても1ヵ月前くらいから交渉をすることをお勧めする。
1-2.メインバンクから交渉する
リスケの延長をしたい際は、まずメインバンクから交渉する。
メインバンクの定義とは借入金額が一番多い金融機関をいう。
メインバンクから交渉する理由はメインバンクの支援が得られなければ、他の金融機関もリスケも延長してもらえないからである。
リスケをする場合は他行一律同条件といい、債権者の金融機関すべてがリスケの支援をしてもらわなければリスケの延長は認められない。
そのためにまずメインバンクのリスケの延長の同意を得ることが先決なのである。
金融機関の数が10行程度ある場合は、一つ一つ交渉するのが大変なためバンクミーティングといい取引金融機関を一斉に集めて交渉するケースもある。
2.リスケの交渉の際に必要な書類
それではここからはリスケの延長に必要な書類のご説明をしていく。
リスケの延長に必要な書類は資金繰り表、試算表又は決算書、経営改善計画書である。
それでは一つ一つ説明していく。
2-1.資金繰り表でリスケの延長が必要なことを説明する
まず、リスケの延長の交渉をするには資金繰り表は必ず必要である。
理由は銀行などの金融機関に今現在、会社の資金繰りがどうなっているかを説明するためである。
リスケを通常通りの返済に戻すには、売上が回復して収入が増えていなければ難しいだろう
リスケを延長できなかった場合、資金繰りが数か月でショートしてしまうようではいけない。
なぜリスケの延長が必要なのかを資金繰り表を通して伝える必要がある。
業績が回復しておらず、資金繰りが改善できていないのなら、そのことを説明しなくてはならない。
そのため、リスケの延長の際に資金繰り表は必要なのである。
資金繰り表の作り方については、こちらの記事「【エクセルのフォーマット付き】初心者でも1日で資金繰り表の作り方がわかる6つの手順」で詳細に説明しているので参考にしてほしい。
2-2.返済額はゼロでは認めてもらいにくい
リスケの延長の交渉を資金繰り表で説明することができればリスケの延長はしやすくなる。
しかし、当初リスケを返済額ゼロでしたものを続けてゼロで延長するのは難しい。
それは、銀行などの金融機関は返済額が続けてゼロだと返済の意思がないとみることが多いからである。
そのため、返済額がゼロでリスケを延長しようとすると銀行はいい顔をしない。
通常返済に戻すのは難しいが、少しでも返済ができる場合は少額でも返済をする方がリスケの延長はしやすくなる。
しかし、本当に資金繰りが厳しい場合は1万円での返済で交渉してみよう。
1万円の返済でいいのかと思うかもしれないが、本当に資金繰りが厳しい場合は返済したくてもできない。
返済の意思はあるが今は返済を大幅に増やすことができないということを伝え、1万円での返済で交渉してみよう。
1万円の返済であれば負担はそれほどかからないだろう。
もちろん返済が1万円以上できる場合はもっと返済を増やした方がいいのは言うまでもない。
3.リスケの延長の際は現状の業績を説明する
資金繰り表で会社の資金繰りがどのようになっているのか銀行に把握してもらい、現状どのように業績が推移しているかを試算表(決算がでている場合は決算書)で説明していかなければならない。
業績については資金繰り表よりも試算表や決算書の方がわかりやすい。
3-1.経営改善計画書通り計画がいっていない場合
当初リスケをした際に経営改善計画書というものを作成されたと思うが経営改善計画書についての進捗も試算表(決算書)と一緒に説明する。
業績が改善していない場合は、経営改善計画書の改善策について実行できているかを銀行から聞かれる。
銀行としては業績を回復してもらうために、経営改善計画書で改善策を立ててもらっているため、計画と比べてどのくらいの乖離があるかをみる。
経営改善計画書通り改善策が上手くいって業績が上向いてきているのなら問題ないが、改善策が上手くいっていない場合は新たな改善策を示していく必要がある。
例えば「月に10件新規顧客をまわる」という改善策を立てていた場合であれば、まずきちんと行動を起こせていたのかから始まり、10件まわったくらいでは成果が出なさそうであれば「月に20件新規顧客をまわる」に変更してもいい。
経営改善計画書をまだ作成していない場合はこちらの記事「リスケをするために必要な経営改善計画書の8つのポイント」を熟読してほしい。
4.リスケの延長の際に注意するべきこと
リスケの延長をする際に注意しなければいけない点をご紹介していく。
4-1.金利を上げられそうになることがある
リスケを延長する際に注意してほしいのは銀行から金利の引き上げをいわれることがある。
引き上幅は0.1%から0.2%程度が多い。
これは経営状況が悪化した先について倒産確率が高くなるため、銀行がリスクに見合った金利をもらうためである。
ただし、金利の引き上げについては簡単に承諾してはいけない。
それは、借入金額にもよるが借入金額が大きければ0.1%金利を上げられるだけでも年間で支払利息が数十万円程、増えることがあるからである。
一度、金利を引き上げられると、リスケを解消できたとしても戻すことは難しい。
金利を引き上げられると利息負担がさらに大きくなり、元金の返済がより困難になる。
リスケの延長の際には金利を引き上げようとしてくることが多いため、粘り強く交渉を続けてほしい。
4-2.リスケを延長すると追加で保証料がかかる
保証協会付きの借入のリスケの延長をする場合は別途保証料がかかる。
保証料については現在の借入残高や延長する期間によって変わってくるため、確認が必要である。
5.売上を回復することがリスケを脱却するためには必要である
リスケを今回、延長することに成功しても、また次のリスケの延長をしなければいけない可能性があるため、少しずつでも返済額を増やすことができるように経営を改善させる努力を経家改善計画書に沿って行っていく必要がある。
まとめ
リスケを延長する際のポイントをまとめると
- リスケを延長する際は資金繰り表、試算表(決算書)、経営改善計画書で説明する
- 返済額は少しでも増やすと延長がしやすくなる
- どうしても返済額が増やせない場合は1万円で交渉をしてみる
業績を回復させて少しずつでも返済額を増やせるように、経営改善計画に沿って経営努力をしていくことがリスケを延長した後でも必要となるので、負けずに頑張っていただきたい。
田烏武
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