社会保険料を滞納してしまった時の3つの対処法

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創業から順調に業績が推移してきたが、ここ最近は売上が減少してきおり資金繰りが悪化してきている。

そのため、毎月の社会保険料を滞納してしまった。

年金事務所から督促状が届き、督促の連絡が入るようになった。

知り合いの経営者から社会保険料を滞納していると差し押さえをされると聞いたが、すぐに滞納分を解消できそうもない。

そこで、今回は社会保険料を滞納してしまった時の対処法についてお伝えしていく。

1.社会保険料を滞納すると資産を差し押さえされる

業績が悪化して、社会保険料を滞納していると年金事務所から会社の預金・不動産・売掛金などを差し押さえられる可能性がある。

そのため、年金事務所から督促状や督促の電話があった場合はすぐに交渉しなければならない。

決して督促を無視してはいけない。

無視しているといきなり会社の資産を差し押さえされてしまうからである。

差し押さえをされてから、交渉にいっても滞納分の社会保険料を全額支払わないと差し押さえの解除をしてくれることはほとんどない。

融資取引のある預金口座を差し押さえされた場合、銀行から融資の残高の一括返済を求められる場合があるので注意してほしい。

不動産の場合は競売にかけられることになる。

売掛金を差し押さえられた場合、取引先に滞納していることがわかってしまい取引を打ち切られる可能性が出てくる。

取引を打ち切られたら、売上がさらに減少するだろう。

そうなれば事業の継続も難しくなる可能性がある。

そのため、督促が来たら誠実な対応をしていただきたい。

誠実な対応とは滞納分の納付の交渉にいくことである。

また、滞納した場合は延滞金で年利14.6%程度とられてしまうので、滞納は解消できるならなるべく早く解消したい。

2.滞納分の社会保険料を分割で納付する

ただ、今まで滞納してきた分を一括で支払うことは難しいであろう。

そこで滞納分の社会保険料について分割で納付する交渉を年金事務所の担当者と交渉をする。

交渉にいく際は会社の現状の資金繰りを説明するために、資金繰り表を作成し持参していくといいだろう。

資金繰り表の作成方法については、こちらの記事「【エクセルのフォーマット付き】初心者でも1日で資金繰り表の作り方がわかる6つの手順」で詳細に説明しているため参考にしてほしい。

分割で納付交渉する際は、いくらずつ納付していくのかを示すことが必要である。

現状の資金繰りを説明していくらずつなら、分割で支払いができるのかを資金繰り表で説明していく。

ただし、年金事務所との交渉ではできない約束は絶対にしてはいけない。

できない約束をして、納付できないと「約束を守らなった」と差し押さえをされてしまう可能性があるからである。

約束を守らないと、さらに信用を失ってしまう。

分割でも納付が厳しい場合は、どのように社会保険料を支払うための原資を作っていくのかを次項で説明していく。

3.滞納している社会保険料の納付方法

ここからは社会保険料の滞納分を納付していく方法についてご説明していく。

3-1.リスケをする

まず、社会保険料を滞納してしまった場合は銀行の返済をリスケすることをおすすめする。

リスケとは銀行の返済を減らす方法である。

例えば返済が毎月100万円ある場合は、ゼロにすることもできる。

毎月100万円返済が減らすことができれば、100万円の納税の原資ができる。

社会保険料を滞納してしまった時はリスケを行い、毎月の銀行返済を減らし、減らした分を社会保険料の滞納分にあてていくことを一番に考えていただきたい。

リスケをすると銀行からの融資を基本的にはうけられなくなるが、社会保険料を滞納している時点ですでに融資をうけられない。

それは保証協会の融資をうける場合は税金・社会保険料の滞納がないことが条件であるからである。

融資を現状うけることができないならば、リスケをして返済額を減らした方が支出を抑えることができる。

順番は社会保険料の滞納を解消してからリスケを解消していくといいだろう。

社会保険料を滞納した場合で、金利14%程度のノンバンクで借りたり、年間手数料率60%~120%程度のファクタリングをこの時点で選択してしまう中小企業様も多くあるが、リスケの金利は保証料を含めても高くても年間5%以内のことが多いため、リスケを一番最初にすることが、資金繰りの改善に役立つ。

リスケをする方法についてはこちらの記事「元銀行員が教える!1ヶ月で資金繰りを改善できるリスケジュールという方法」で詳細に説明しているので参考にしてほしい。

3-2.ノンバンクから借りて納付をする

リスケをしても社会保険料の滞納分を納付できない場合はノンバンクから借りて納付する。

  • 代表者個人でノンバンクから借りて納付をする
  • 会社でノンバンクから借りて納付する

である。

社会保険料を滞納すると延滞金が年利14.6%程度かかるため、ノンバンクから借りても同じくらいの金利となる。

同じくらいの金利であれば、ノンバンクから借りて滞納分を納付した方が差し押さえのリスクが低い。

そのため、ノンバンクから借りられるのであれば、ノンバンクで借りて納付する方法もある。

3-3.リストラをする

社会保険料は社員の分も折半で支払いをしなければならない。

そのため、どうしても滞納分が払えない場合は、社員をリストラすることも検討しなければいけない。

社員が減れば社会保険の加入者も減るため、社会保険料の会社負担分も減ることになる。

社会保険料の滞納分の中には社員から預かっている分もあるので、社員から預かっている分も運転資金に使ってしまうのは良くない。

今後も社員を継続して雇用していけば社会保険料も負担していかなければいけないため、もし滞納分が支払えない場合は経営者としては本望ではないだろうがリストラも検討する必要がある。

4.赤字を解消することが根本的の解決策となる

社会保険料の滞納の根本原因は事業が赤字の原因が多い。

そのため、赤字の解消ができなければ社会保険料も再度、滞納してしまうだろう。

現状が赤字の場合はギリギリまで経費削減に取り組み一刻も早く黒字化にする必要がある。

黒字にするための売上回復のための施策を同時並行して取り組んでいっていただきたい。

まとめ

社会保険料を滞納していると会社の資産を差し押さえされる場合がある。

そのため、年金事務所と交渉して滞納分を分割して納付していくことを交渉する。

交渉の際には資金繰り表を持参し、いくらずつ分割して納付できるかを示していく。

社会保険料の滞納分を解消していくのに効果的な方法は

  • リスケをする
  • ノンバンクから借りる
  • リストラをする

である。

ただし、根本的な解消は赤字を解消して、利益を増やしていくことであることは覚えておいていただきたい。

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田烏武

代表取締役株式会社 田烏経営研究所
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し中小企業、個人事業主向けの融資業務を担当する。 業績悪化先に対する返済条件のリスケジュールを毎月のように行う。 数多くの業績悪化先の特徴を見る中で、資金繰りが悪化する原因についてわかるようになる。 世の中の中小零細企業の資金繰り改善を目指すため独立。 得意分野は業績悪化先に対するリスケの実行支援。

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