ファクタリングを利用する際の債権譲渡登記について注意する2つのこと
銀行に融資を申し込んだが、断られてしまった。
仕入れ資金や支払いがあり、このままでは資金繰りがショートしてしまう。
知り合いに相談した所、ファクタリングという資金調達方法があると聞いたが、債権譲渡登記というものをしなければいけないらしい。
債権譲渡登記については、あまりよくわからない。
そこで、本日はファクタリングを利用する際の債権譲渡登記についてご説明していく。
弊社がクライアント様に実際にご説明していることをお伝えしていく。
まず、弊社ではファクタリングをする前にリスケをおすすめしている。
リスケとは銀行の毎月の返済額を減らす方法で、毎月の返済額をゼロや減額することができる。
リスケを先におすすめしている理由は、ファクタリングに比べ手数料が大幅に安いからである。
もし、まだリスケをしていない場合は、先にリスケを検討してみてほしい。
1.ファクタリングの債権譲渡登記とは
まず、ファクタリングの際の債権譲渡登記とは、ファクタリング会社が売掛債権を売買する際に、売掛債権の権利がファクタリング会社にあるということを証明するために登記を行う。
債権譲渡登記は2社間ファクタリングの際に設定することが多い。
2社間ファクタリングとは、下図のように事業者とファクタリング会社の2社で行うファクタリングである。
もし、2社間ファクタリングでファクタリング業者が債権譲渡登記をしていなかった場合、事業者が倒産した際に銀行や税務署に売掛債権を持っていかれる可能性がある。
例えば、破綻しそうな中小企業は、銀行は売掛金の入金口座を凍結させて、融資と相殺をさせる場合がる。
このケースでは、銀行に口座の凍結をされた場合、中小企業の事業者は売掛金を引き出すことができなくなる。
売掛金を引き出すことができなければ、ファクタリング会社へ振り込むことができないため、債権譲渡登記をしていないとファクタリング会社は損をすることになる。
また、消費税や社会保険などを滞納している中小企業は、税務署や年金事務所に売掛金を差し押さえられる場合がある。
税務署や年金事務所に売掛金を差し押さえられた場合は、売掛金に債権譲渡登記をしていないと、売掛金は税務署や年金事務所に持っていかれてしまうことになる。
そのため、ファクタリング会社は税金の滞納がないかを確認するために、ファクタリングの契約をする前に会社の納税証明書を提出させ、税金の滞納があるかを確認するのである。
ファクタリング会社はリスクを回避するために、2社間ファクタリングをする場合は売掛金に債権譲渡登記を行うことが多い。
ただし、2社間ファクタリングの場合でも、債権譲渡登記をしないファクタリング会社もあるため、ファクタリングを利用する際は他のファクタリング会社と必ず相見積もりをとることをおすすめする。
3社間ファクタリングの場合では、債権譲渡登記を行うことはほとんどない。
3社間ファクタリングとは下図のように事業者、ファクタリング会社、売掛先(取引先)の3社間でファクタリングを行うことである。
3社間ファクタリングで売掛金に債権譲渡登記をしないことが多いのは、3社間ファクタリングでは売掛先からファクタリング会社に直接、売掛金を振り込んでもらえるからである。
ただ、税金や社会保険は売掛金があれば3社間ファクタリングの場合でも、差し押さえることができるため、もし税金・社会保険の滞納が多額にある場合はファクタリング自体を断られることもある。
2.債権譲渡登記のメリット
中小企業がファクタリングを利用する際の債権譲渡登記をするメリットは、ファクタリングができる可能性が高まることである。
債権譲渡登記をすれば、ファクタリングでの資金調達ができる可能性が高くなるため、入金までの期間を早くすることができる。
ただし、債権譲渡登記をしなくてもファクタリングを利用できるファクタリング会社もあるため、他のファクタリング会社にも相見積もりした方がいい。
3.債権譲渡登記のデメリット
ファクタリングを利用する際の債権譲渡登記のデメリットは、会社の登記簿を照会された際に売掛金の債権譲渡登記が載ってくることである。
債権譲渡登記が設定されていると新規取引先や銀行が見た場合、新規取引ができなかったり、融資をうけられなくなる場合がある。
また、債権譲渡登記は司法書士に登記を依頼し設定してもらうため、登記の設定費用と司法書士への報酬で5万円~10万円程度かかることが多い。
債権譲渡登記の費用はファクタリングの金額から差し引かれて振り込まれるため、ファクタリングの資金が減ることになる。
まとめ
ファクタリングをする際の債権譲渡登記は、ファクタリング会社のリスクを回避するために2社間ファクタリングの場合でよく登記をされる。
債権譲渡登記のメリットはファクタリングができる可能性が高まることである。
反対にデメリットとしては新規取引先や銀行などに登記簿を見られた場合、新規取引ができなかったり、融資をうけられなかったりすることがある。
債権譲渡登記はファクタリング会社によっては、登記しなくてもファクタリングができることもあるので、相見積もりをとることをおすすめする。
田烏武
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